連日35℃を超える日々が続き、漢方薬で暑気あたりに頻用される“藿香正気散”が品不足になったと聞きます。ですが、もっと手軽に自家製でできるいい物があります。「梅ピューレ+金時ショウガ」です。梅ピューレは糖の濃度を調整すると半年ほどもちます。
「梅ピューレ+金時ショウガ」が効く理由
冷えからおこること
暑さで血液は発汗の為に皮膚面へ移動してしまいます。内部は貧血の上、体内を冷やすと機能が停止し、病原菌の増殖する場を作ります。その上、胃酸も薄まり、殺菌力も低下していきます。金時ショウガは強い辛温の生薬ですので、停水を除去し体温を上昇させます。その上、梅ピューレは、梅のクエン酸やリンゴ酸がpH1-2の強酸性を造りだします。腸はpH7ですが、これが梅ピューレで酸性側に一時期傾くので病原性微生物は住めなくなります。その為、徐々に正常へと回復するわけです。金時ショウガは蒸した“蒸し金時ショウガ”の方がより有効に働きます。
胃腸が冷えると
冷えた物を多飲したり寝冷えしたりすると、どうして胃腸の調子が狂うのでしょうか。体の芯は37℃位の体温があります。これで体は順調に数千もの化学反応が行なわれ、恒常性が保たれています。0.5℃も体温が低下すると、その反応は遅々として進みません。それが変調の基で、そんな条件を好む病原性の微生物が増殖したりする環境が出来るわけです。そのような時に皆様は抗生剤を使われるのに迷われると思います。
梅ピューレの用法・用量
梅ピューレの出番はこういった場合です。程度によりますが、梅ピューレ大匙~5杯をコップに取ります。金時ショウガ粉末か、出来たら三種混合粉末を小匙2~3杯加えてかき混ぜ、一日3回服用しますと、大概一日で全快です。
梅ピューレのつくり方
(材料)
- 熟した梅(黄変した物) 1㎏
- 黒砂糖あるいは甜菜糖 250g~350g
- イヌリン 150g~200g(糖濃度を高めると微生物の増殖を抑制し、保存性が向上しますので、イヌリンはもっと多く加えても構いません。)
- 味醂 50㎖~150㎖
- 保存用の広口瓶(梅酒用の瓶のようなもの)
(造り方)
- 梅のヘタを楊枝などで取り、よく水切りをしておく。
- 鍋に水200mℓと味醂を入れ、①の梅を加え、蓋をして加熱する。
- 火力を調整しながら(あまり強火にすると吹きこぼれる)、梅全体がふやけてくるまで時々菜箸でまぜる。軟化して来たら、イヌリン・糖類を好みの濃度で攪拌しながら添加する。火力は弱火で行う。(強火だと焦げる)
- 沸騰したようにボコボコと泡が出てきたら、10分火を止める
- 放冷後、梅の種子を除去し、漏斗などを用いて瓶に詰め冷蔵庫内に保管する。
※濃度が薄い物が良い場合は、水を300mℓ~500mℓに各自調整する。
★好みによって前出のノビレチン高含有量なミカンの皮を添付すると、マーマレードの様にもなります。また、イヌリンの添加時に一緒に加えても美味しいです。毎日、少しずつ摂食されても健康維持によろしいと思います。
薬剤師・医学博士 山原 條二
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